ボヘミアガラスの産地、ヤブロネッツより15kmほど南東にあるZelezny Brod(ジェレズニーブロト)で作られたガラス製の花瓶です。
「ボヘミアガラス」というのは「ボヘミア地方で作られたガラス」の総称で、ガラスビーズやボタンの工場が多かったヤブロネッツに比べ、ジェレズニーブロトではアートガラスがたくさん作られていました。
この地域で、1948年に共産主義体制の下で国営企業として設立されたのが、Zeleznobrodske Sklo (ZBS)です。
こちらの花瓶は、おそらく元々は1930年代にFrantisek Halama/フランチシェク・ハラマがデザインしたものを、共産主義体制になってからZBSが製造したもの。
フランチシェク・ハラマは1937年にパリ万国博覧会でフランス政府の最優秀賞を受賞し、ドイツやイタリヤ、フランス、アメリカへ製品を輸出していました。
彼のガラス会社は共産主義になる前にジェレズニーブロトにあった会社の中で最も成功を収めていた会社のうちの一つです。
この自然光の下では紫色に見えるガラスは、鉱石のアレキサンドライトのようなカラーチェンジをするため「アレキサンドライトガラス」と呼ばれ、とても人気のある色です。
アレキサンドライトガラスは、自然光の下では紫色に、蛍光灯の下では水色に見えます。
ガラスに酸化ネオジウムを混ぜることで作られていますが(鉱石のアレキサンドライトを含んでいるわけではありません)、このカラーチェンジは酸化ネオジウムが黄色の光を吸収する性質を持っているため起こります。
〇自然光(赤青緑をほぼ均等に含む)→黄色が吸収され赤青青となり、青っぽい紫色に見える
〇白熱灯(赤黄+少量の緑青を含む)→黄色が吸収され赤+少量の青となり、赤っぽい紫色に見える
〇蛍光灯(青+少量の緑黄色を含む)→黄色が吸収され青色のみが残り、青色に見える
カラーチェンジの理屈は解析されていますが、その色変化は何度見ても不思議で心を奪われます。
まさに ZBSがテーマとしていた「アートなガラス」だと思います。
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古いものですので、経年による多少のスレが傷がございます。
パッと見てわかる大きな傷はありませんが、詳細画像で指さししている底部分に小さなカケ、底の上部分にも同じくらいのカケがございます。
実際に花瓶として使用したことがあるようで、内側に少し白っぽい水による汚れがございます。
お値段に反映しておりますので、ご了承ください。
サイズ:約 縦15.8cm×横5.8cm×厚み5.8cm