DETAIL
チェコスロヴァキア時代に作られたガラス製の小物入れです。
おそらく1910〜30年ごろのアールデコ時代に作られたもので、カクカクとしたデザインがとても美しいです。
この時代にデザインされた香水瓶や小物入れが、戦後の共産主義時代にいくつか復刻され、中には現在も生産されているものもありますが、このデザインの小物入れは復刻版が存在しないのか滅多に見つかりません。
共産主義体制に変わるときに、型が引き継がれたものと、そうではないものがありますので、この小物入れの型は無くなってしまい作れないのかもしれません。
アレキサンドライトガラスで作られており、自然光の下では紫色に、蛍光灯の下では水色に見えます。
ガラスに酸化ネオジウムを混ぜることで作られていますが(鉱石のアレキサンドライトを含んでいるわけではありません)、このカラーチェンジは酸化ネオジウムが黄色の光を吸収する性質を持っているため起こります。
〇自然光(赤青緑をほぼ均等に含む)→黄色が吸収され赤青青となり、青っぽい紫色に見える
〇白熱灯(赤黄+少量の緑青を含む)→黄色が吸収され赤+少量の青となり、赤っぽい紫色に見える
〇蛍光灯(青+少量の緑黄色を含む)→黄色が吸収され青色のみが残り、青色に見える
カラーチェンジの理屈は解析されていますが、その色変化は何度見ても不思議で心を奪われます。
溶かしたガラスを型に流し込み圧をかけて成型するプレスガラスという手法で作られていますので、プレスガラスならではのガラスの細かい気泡やムラ、シワがございます。
縁に製造時にできたバリの部分を取る際に細かいカケができてしまっていたり、多少凹んでいる箇所があったりします。
ほとんど傷のない状態ですが、詳細画像で矢印で示している部分のみ後からできたカケだと思われます。
古いものならではの味としてご了承ください。
サイズ:約 縦9.3cm×横11.6cm×高さ4.4cm