ボヘミアガラスの産地、ヤブロネッツより15kmほど南東にあるZelezny Brod(ジェレズニーブロト)で作られたガラス製のボウルです。
「ボヘミアガラス」というのは「ボヘミア地方で作られたガラス」の総称で、ガラスビーズやボタンの工場が多かったヤブロネッツに比べ、ジェレズニーブロトではアートガラスがたくさん作られていました。
この地域で、1948年に共産主義体制の下で国営企業として設立されたのが、Zeleznobrodske Sklo (ZBS)です。
ZBSは、1950年代〜60年代にMiloslav Klinger/ミロスラフ・クリンゲル (1922 - 1999)によってデザインされた、有機的な曲線や形をした花瓶やボウルなどで知られています。
このボウルも、そのミロスラフ・クリンゲルがデザインしたと言われているデザインです。
おそらく灰皿としての使用を意識してデザインされたのだと思いますが、なぜかボウルと表記されていることが多いので、アートガラスゆえ用途は決めていないということでしょうか。
同じ形で表面がつるりとしたままの加工のものもありますが、こちらは表面に凹凸の柄があり、芸術性を更に高めています。
ミロスラフ・クリンゲルは金属工学を学び、 ガラスにさまざまな金属酸化物を着色剤として混ぜることで美しい色のガラスを生み出していました。
この自然光の下では紫色に見えるガラスは、鉱石のアレキサンドライトのようなカラーチェンジをするため「アレキサンドライトガラス」と呼ばれ、とても人気のある色です。
アレキサンドライトガラスは、自然光の下では紫色に、蛍光灯の下では水色に見えます。
ガラスに酸化ネオジウムを混ぜることで作られていますが(鉱石のアレキサンドライトを含んでいるわけではありません)、このカラーチェンジは酸化ネオジウムが黄色の光を吸収する性質を持っているため起こります。
〇自然光(赤青緑をほぼ均等に含む)→黄色が吸収され赤青青となり、青っぽい紫色に見える
〇白熱灯(赤黄+少量の緑青を含む)→黄色が吸収され赤+少量の青となり、赤っぽい紫色に見える
〇蛍光灯(青+少量の緑黄色を含む)→黄色が吸収され青色のみが残り、青色に見える
カラーチェンジの理屈は解析されていますが、その色変化は何度見ても不思議で心を奪われます。
まさに ZBSがテーマとしていた「アートなガラス」だと思います。
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古いものですので、経年による多少のスレが傷がございます。
パッと見てわかる大きな傷はなく、中央にはオリジナルのシールが残っています。
詳細画像で手の上にガラスを置いている写真で分かるように、底面に気泡がたくさん入っています。
手作りのガラス製品の味として、ご了承ください。
サイズ:約 縦12.4cm×横13cm×厚み5.1cm(768グラム)